今回は、”サッカーのビルドアップの意味”と”それに必要な能力やトレーニング“、および”参考となるクラブの動画“などをお伝えしたいと思います。
ちなみに、”ビルドアップ”をインターネット辞書で調べると、“体格などを鍛え上げること“とか”築き上げる“といったことが書かれています。
これだと意味が分からないので、”サッカーの専門用語としてビルドアップ“を検索してみると、”構築する“という意味だそうです。
サッカーの場合では、”攻撃を組み立てる“ことを指しており、”ゴールキーパーやディフェンダーから、中盤・前線へとパスやドリブルで攻め上がっていく一連の流れやプロセス“を意味しています。
では、この”ビルドアップ“に、”どのような能力が必要“で、”どのようなトレーニングが効果的“なのかをライフキネティック・トレーナーの視点からお伝えしていこうと思います。
目次
①ビルドアップで参考になるクラブ
先ほどお伝えしたように、”ビルドアップ“は、ゴールキーパーやディフェンダーから、中盤そして前線へとパスやドリブルで攻めあがっていく一連の流れになるわけですが、それが”クラブの戦術として如実にあらわれているのがバルセロナ“ですね。
このクラブでは、自チームがボールを保持し続けることが喜びであり、それによって”ゲーム全体を支配してしまうのが最大の狙い“です。
ちなみに私が当時まだ高校生だった頃、我々のコーチも同じように“ボールを失わなければゲームを支配できる“と常に言っていましたので、ある意味、私たちのコーチは国内で最先端のサッカーを目指していたのだと思います。
ですので、我々のサッカー部は、雨天になるとかなり神経質になっていました。
どうしてかというと、雨によって土のグラウンドコンディションが悪くなり、水溜りができてボールが止まってしまう恐れが出てくるからです。
その為、我々のホームグラウンドで県大会を開催する際は、グランドを整備する用具を3年や2年の上級生が指揮をとり、率先して試合の合間やハーフタイム等を利用して、できる限りグランドの状態がフラットになるように整備していました。
更に、ホームグランドということもあって、あえて片側半面だけを整備し、こちら側が常に有利になるようにしていました。
バルセロナでは、ホームスタジアムの芝に水を撒くということがあるようで、あえてボールがスリッピーに素早く動くようにしているそうです。
日本代表もこれと同じことをしていたそうですが、そこまで日本代表がバルセロナを意識することは無いと思うのですが...
とりあえず水を撒いておけば、アジアならば日本代表の方が有利になるという見解なのでしょう。
と、まぁ日本代表のことは横に置いといて、”ビルドアップで参考にクラブ“をご紹介したいと思います。
今回ご紹介するのは、あえてバルセロナではなく、”イタリア・セリエAに所属するナポリ“というクラブです。
このクラブには、”過去にマラドーナも所属“していたこともあり、その時にリーグ優勝を成し遂げているクラブでもあります。
(一部省略していますので約20秒の動画です)
いかがでしょうか?
しっかりとゴールキーパー(後方)からボールを繋ぎながら、更にドリブルも駆使しつつ、攻撃を組み立て、見事に最後は相手からゴールを奪いました。
とても”参考になるビルドアップ“だったと思います。
このような組み立てができるようになる為には、”個々の選手が持つ能力がとても重要“です。
前回お伝えした”トラップ(レシーブ)の基本技術“もそうですし、正確に味方にパスを繋ぎつつ、ある場面ではドリブルも使って相手の守備網を潜り抜けなければいけません。
すなわち、”全ての能力“が個々の選手に備わっていなければ、絶対に達成することができない組み立て方。
それが今回ご紹介する”ビルドアップ“です。
②個々に必要とされる能力
では、先ほどのような”ビルドアップ“をチームで行う為には、”どのような能力が必要“なのでしょうか?
幾つかあげていくので、”自分にその能力が備わっているかチェック“してみてください。
1. サッカーの基本的な技術
これは先ほどもお伝えしたので当然ですよね。
この”サッカーの基本技術“が低いと、”ボールを自分の意図した位置へコントロールすることができません“し、ボールのコントロール処理で躊躇していたら、あっという間に相手選手に囲まれてボールを失ってしまします。
ですから、一般的に考えて、育成年代では”ボールを受けてパスが出せる“といった、”サッカーの基礎的な技術を身につけた選手“になるように指導をしていかなければいけません。
ただし、この辺のことは地域差によって戦術が大きく変わってきます。
もしかしたら、ご自身の所属するクラブやチームが、それに該当しない可能性も少なからずあると思います。
次に、必要な能力ですが...
2. サッカーの基本的なコーディネーション能力
サッカーを始めて間もない方には、この”コーディネーシ能力“というのが、どのような能力なのかが分からないようです。
ようするに、
を指します。
育成年代のサッカーを見ていると、結構な頻度で”コーディネーション能力を養うことを無視するような指導“をしていることがあります。
とにかく前へ前へと後方から前線にボールを蹴りだして、”足の速さや対格差を利用したフィジカル重視の戦術“で、”試合に勝つことだけを目的にした指導や育成“をしている様子が全国各地で見受けられます。
先ほどの”ナポリのビルドアップ“を見ていただければ分かると思いますが、味方選手へのパスコースは、皆さんが思っているよりも選択肢があり、それをボールを受ける前から把握し、予測しつつ、数手先まで考えながらプレーの判断をしています。
上記のような判断の部分を適切にしていく為にも、”サッカーに必要とされる基本的なコーディネーション能力は必須“であり、自分自身とボールが一緒に動くことで、”リアルタイムで選択肢がたくさん生まれる“ようになります。
私の高校時代は、コーチから”パスはグラウンダーのパスだけじゃない“と教わったことがあり、このナポリのように中央にいる相手選手2人の間を、”ボールを浮かせてパスを通すということも非常に有効“です。
“コート全体を立体的に見る(俯瞰する能力)“ができるようになれば、こうした判断が冷静にできるようになっていきます。
さて、次の能力はどのようなものでしょうか?
3. 2つ以上の技能を同時に使いこなす運動スキル
最後にお伝えするのが、”2つ以上の技能を同時に使いこなす運動スキル“です。
ちょっとややこしい運動スキルですが、これを簡単に他の例を使って説明すると、自転車が分かりやすいと思います。
ある程度の人は、幼い頃から自転車が乗れるように訓練しますよね?
つまり、
この”自転車が乗れるようになる過程と似ている“
と思っていただいて構いません。
現在、最も早く自転車が乗れる方法は、
まずペダルを外して、足で地面を蹴るようにして(足でペダルをこぐという動作をしない)、ハンドル操作のみでバランスを取ることから始めます。
そして、ハンドルだけで転ばずにバランスが取れるようになったら、外したペダルを取り付けて、ここでようやく”足でペダルをこぐ“という動作を加えます。
たったこれだけの単純な過程ですが、これで幼い子供は数時間足らずで自転車に乗れるようになってしまいます。
つまり、最初はハンドル操作によるバランスの維持という1つだけの運動スキルだったものが、その運動スキルに慣れてきたら、次の課題である”手でハンドル操作をしながら足でもペダルをこぐ“という”2つの運動スキルにチャレンジ“することになります。
でも、1つ目の運動スキルは以前の段階でクリアしていますから、ただそこに”新しい運動スキルとして足でペダルをこぐ“を追加しただけです。
この”2つの技能を同時に使いこなす運動スキルが身についてくる“と、ハンドルを操作しながら足でペダルをこぎ、更に障害物もかわしながら自転車を運転することができるようになっていきます。
うちの子共たちは3人とも、この方法を使って短時間で自転車が乗れるようになっています。
このことからも分かるように、人間の脳は他の動物たちとは違って、格段に優れている部分があります。
それが”記憶を司る部分“です。
この能力を上手く用いれば、大道芸人のようなこともできてしまいます。
さて、サッカーの話に戻ります。
サッカーでは、自転車の運転以上に様々な運動スキルが同時に必要とされます。
決して”1つや2つといった単純な話“ではありません。
だからこそなのですが、そんな多くの運動スキルを幼いうちから使えていないだけで、大声で叱ったり、指摘するのはもうヤメにすべきではないかなと、私は個人的に感じています。
皆さんだって、”幼い頃は子供たちと同じ状況だったはず“です。それを私たち大人は、自分たちの目線で子供たちを見てしまう癖があります。
実際に、自分が同じようにサッカーの試合でプレーをすることになったとしたら、子供たち以上にプレーできるかどうかも怪しいものです。
ですので、”温かい目で幼いお子さんたちの成長を見守る“ようにしてあげてください。
③個々の能力を向上させる為のトレーニング
さて、これまでお伝えした”ビルドアップに必要な能力“ですが、最後に”2つ以上の運動スキルを同時に使いこなす“とお伝えしましたよね?
ここまで話せば次にどのようなトレーニングが必要なのか、”勘が鋭いあなた“なら薄々感じているはずです。
そうです。
私も取り入れているライフキネティックのトレーニングで、”複数の運動スキルを同時に使えるようにすること“が、”現在最も効率の良いトレーニング法“とされています。
先ほど紹介した”ナポリのビルドアップ“をもう一度ご覧になってみてください。
パスを受ける間やボールが無い状況でも、彼らは常に”周囲の状況を把握しようと努力“しています。
そうすることによって、次の選択肢の候補が次々と生まれ、”たくさんある選択肢の中から最善の選択を導き出せる“ようになっていきます。
ですから私は、自分の行うサッカースクールで、常に何かをしながら他の運動スキルを同時に行うように、”難易度の高い課題を与えたトレーニング“を行っています。
イメージがわかないかもしれませんが、
“サッカーの試合では絶対に有り得ないようなこと“
までさせています(笑)
でも、サッカーの試合には絶対など有り得ませんから、その運動スキルが必ずサッカーの中で活かせる時が来ると思います。
というか、そうなる為に私はライフキネティックのトレーナーとして各種エクササイズを作成し、それを選手たちに提供しています。
まだ開始して間もないサッカースクールですし、このサイトを立ち上げた時期と同じくらいなので、成長して成果が出るまでにはそれなりの期間が必要です。
ある運動スキルを習得する為には、何が必要だったか皆さんは覚えていますか?
(初めて訪れた方は、下記の記事について学んでください)
あえてここでは説明しませんので(笑)
ライフキネティックと言えば、今回のチャンピオンズリーグ決勝まで駒を進めたリバプールの監督クロップが有名ですよね。
(その後、リバプールは優勝を決めました!)
クロップ監督の説明によると、
“サッカーでは、状況を速く把握することの方が速く走ることよりも重要!“
と私たちに伝えています。
そして彼は、誰もよりも先にライフキネティックをサッカーの現場で活用し、数々の成功をおさめてきました。
こうしたことからも、”個々の能力を向上させるトレーニング“として、”ライフキネティックが効果的!“ということが、ご理解いただけるのではないでしょうか。
これを頭に入れながら、今後はナポリやバルセロナ等の試合を見ると、私の言った”2つ以上の運動スキルを同時に使えるようにする“の意味や重要性が分かってくるはずです。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、”サッカーのビルドアップの意味”と”それに必要な能力やトレーニング“、および”参考となるクラブの動画“などを”ライフキネティック・トレーナーの視点“からお伝えさせていただきました。
最近のスクール(ライフキネティック・コース)では、長く続けている選手で約6ヵ月が経過しており、徐々にその成果も見えてくるようになってきました。
当然、後から1人また1人と新たにスクールに参加する選手も出てくるわけですが、6ヵ月前から取り組んでいる選手と、加入したばかりの選手とでは、既に”判断力に大きな差“が出てきています。
だからといって、ライフキネティックを取り入れるのが遅すぎるということではありません。
“常に集中して、向上心を持ち、熱心に取り組んでいく“ことで、”より効果的なエクササイズが可能“となり、場合によっては”大きな差を埋めてしまう“ということも十分に考えられます
最近のスクール活動を報告した記事もありますので、どのように選手たちが変化してきたのかを確認していただけたらと思います。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました♪