サッカーのディフェンスを向上させる3つの要素とコツ。秘訣は学習転移とカンナバーロ!


少年サッカーで足を出して相手のボールを奪う場面

今回は、サッカーにおけるディフェンスで、「ディフェンスを向上させる要素およびコツ」についてお伝えしていきます。

 

私のスクールは、約10年前から日本全国の方を対象にムービーレッスンという形式で活動をしてきました。

 

その中で、不思議とディフェンスでレギュラーになる選手が多く、そこには何か要因があるのではないかと思い、今回その要因について書こうと思いました。

 

何故、サッカーの技術やコーディネーション能力を高めていく中で、ディフェンス能力がアップしたのか?

 

そのことについて、少しでもヒントになればと思います。

 

サッカーでディフェンスが上手くなる為に


大人のサッカーの試合で、足を出して相手のボールを奪う場面

私の方では、特に「ディフェンスが上手くなる為のトレーニング」を提供しているわけではないのですが、ディフェンスとしてレギュラーを掴み取る選手が出てきます。

 

どの位の頻度で出てくるのかは不明ですが、当スクールでサッカーの技術やコーディネーションが習得できた選手が、全国大会のセンターバックとして出場したり、Jクラブの下部組織の1軍でセンターバックとして公式戦に出場しました。

 

当初、これは単なる偶然なのかなと思っていましたが、「サッカーの技術とコーディネーション」を習得し、更にその原理を知ったことで、それらがディフェンスをする上で「役立てることができるようになった」と考えて良いと思います。

 

つまり、学習転移が起きたということですね。

 

他のスポーツに移行することだけが学習転移ではなく、同じ競技の中で各ポジションがあるわけですから、それまでに培った技術や能力をそのポジションで活かせる可能性もあるわけです。

 

例えば、サッカー日本代表のセンターバック昌子選手は、育成年代ではオフェンスをしていたという過去があり、彼の能力を最大限に活かす為に指導者がセンターバックとして起用し、それによって彼の能力が開花しました。

 

過去の日本代表選手を見てみると、柱谷(哲)氏やゴン中山氏も育成年代でオフェンスとディフェンスを掛け持ちしていた時期があります。他にもあげたらキリがありませんが、このように逆の立場になって(攻撃と守備が入れ替わって)も、今まで得た技術や能力を活かせることがあります。

 

ちなみに、国立市で活動しているライフキネティックサッカースクールに参加している選手の中で、「ネイマールが好きだ」と言っている子がいますが、今年春から新チームに移籍して、すぐにさまセンターバックとしてレギュラーの座を奪いました。

 

当時は、ライフキネティック教室に参加されていて、左右の脳を同時に使うことやコーディネーションに課題がありましたが、約2カ月ほど活動して、こうした能力を向上させることができ、今はもっと良い感じでサッカーの技術とコーディネーションを瞬時に出すことができるようになってきています。

 

ようするに、ワーキングメモリーを向上させると、ある分野において「器用な人」になれるのだと思います。

 

そういう私も、小学生の低学年ではディフェンスをやらされ、高学年ではウィングのポジションで起用され、高校ではツートップをやったり、2軍のコーチからトップ下で起用された時期があります。

 

更に社会人の県リーグでは、全国レベルの基礎技術と基礎能力を習得していたこともあり、高い守備能力とスタミナがかわれて、守備的なミッドフィルダーとしてレギュラーとして出場していましたし、市のリーグに所属していた頃は、チームの失点を減らす為にと「自らの意思でセンターバックとしても出場」していました。

 

このように、ワーキングメモリーを向上させることができると、どの分野でもそれなりに活躍することができてしまいます。

 

ですから、育成年代のサッカーでは、そのポジションに固執または極めることではなく、サッカーに必要な基本技術と基本のコーディネーションを習得することが重要だということが分かります。

 

ちなみに私の場合は、当時ライフキネティックなどありませんでしたから、学校が終わってから公園で遊ぶことによって、ワーキングメモリーを向上させることができたと思いますし、他にもスイミングや公文(塾)に通っていたので、それらも少なからず影響を与えたと思います。

 

なので個人的には、サッカーのディフェンスが上手くなる為の方法として、サッカーに必要な基礎技術と基礎的なコーディネーションをしっかりと学んでおくことを推奨します。

 

この2つの要素を学び、理解し、運動スキルを習得できたからこそ、学習転移を起こすことができたわけで、様々なポジションでその技能を活かすことが可能になります。そして、その中で自分のストロングポイントを発揮することができるポジションを見つけられれば、更にサッカーの試合で活躍できるはずです。

 

2.サッカーのディフェンスには予測する能力が必要


サッカー男子の試合で、ディフェンスが足を出してボールを奪おうとする場面

サッカーのディフェンスでは、オフェンスと違って、「相手のプレーを事前に予測する能力」が必要です。

 

でも、先ほど伝えたサッカーの基礎技術や基礎的なコーディネーションを知らなければ、相手オフェンスの選手が、その後どのような動きやプレーをするのか予測することができません。

 

私も守備的なミッドフィルダーやセンターバックをやる時に感じるのですが、「自分の経験から、次はこの辺を狙ってくるだろう...」と予め予測することができます。

 

こうした経験をすることで、逆にオフェンスをした際に「こういうプレーをするとディフェンスは嫌だな」というのが分かってきます。そして、どのように動けば相手が反応しにくくて、そして嫌なプレーなのかを「逆の立場になってみて初めて分かる」というケースが頻繁に出てくるようになります。

 

当然、その動きや嫌なプレーを逆の立場で同時に知ることができるわけですから、これによって相乗効果が期待できます。

 

でもですね。あまりにも予測が速すぎるのも問題になる時があります。

 

ちなみに、人間の運動生理学という分野が存在し、人間がついつい無意識にやってしまうという予測の仕方があります。

 

これは、オフェンスであってもディフェンスであっても、無意識のうちにやってしまうことがあり、その存在を知っているかどうかで、その後のプレーに違いが出てきます。

 

例えば、メッシが何故あれほどドリブルで相手ディフェンスを抜き去ることができるのかとか、元イタリア代表カンナバーロは何故あれほどボールを奪うディフェンスができるのか、こうしたことが次第に分かるようになります。

 

相手が素早く予測すれば、それに従って「身体を動かす為の準備」や「実際の動き出し」も速くなっていきます。しかし、その予測の速さによって、判断を誤ってしまうことも十分あり得るということです。

 

昔から「あっち向いてホイ」という遊びがありますよね。ジャンケンをした後に、相手の顔を指差す遊びですが、これを更に発展させたのが、「叩いて被ってジャンケンポン」といった芸人さんたちがやるモノでしょうか。

 

これを見ていると、分かっていてもついついやってしまう芸人さんたちの動きに、我々は面白おかしくなって、ついつい見入ってしまいます。

 

これをサッカーの1対1で考えてみると、「相手をドリブルでかわせるタイミングだったのに、その時にかわす動きができなかった」とか、「相手に素早く反応できたのに、その時にボールを奪えなかった」という人間の持つ運動生理学が分かってきます。

 

この辺については、私が独自に伝えている「フィードフォワード理論」で詳細を明らかにしていますので、興味がある方はムービーレッスンのフルサポートをご活用ください。

 

このように、人間には分かっていてもついついやってしまう生理的な動きというものが存在します。それを見事に運動プログラムに作り上げたのが、ライフキネティックなのではないでしょうか。

 

咄嗟に訪れる右脳と左脳の使い分け、そして瞬間的なタイミングで表現しなければならない運動スキル等々...

 

これらを脳が素早く判断できなければ、それを実現するのが難しいのは目に見えています。

 

ですから、いかにその動きやプレーを「しっかりと見極めること」ができて、ベストなタイミングでそれを「実行に移せるか」が重要になってきます。

 

オフェンスとディフェンスは、ある意味、表裏一体です。ただ闇雲に予測する能力を高めれば良いというわけではありません。

 

サッカーのディフェンスでは、どのような動きの時に、どのような動きができて、どのような動きができないのか、そして、どのようなタイミングの時に、どのようなコーディネートができて、どのようなコーディネートができないのか、を知ることが大切です。

 

サッカーのディフェンスでは最後まで粘れる技能が必要


大人のサッカー選手がサッカーの試合で、ディフェンスを相手にボールをキープしている場面

サッカーのディフェンスでは、「粘る技能」がとても必要です。

 

この粘る技能ですが、皆さんはどのように考えますか?

 

私の場合は、「自分の足を止めずに相手オフェンスに食らいつく」というイメージが頭に思い浮かびます。

 

私が高校時代にドイツとオランダで学んだことは、ボールを奪えると判断できた時だけ、「身体を投げ出したスライディングタックルをしても良い」と、現地のコーチから教わりました。

 

そうすることで、ボールを一時的にコートの外に出すことができ、守備陣形を整えたり、立て直したりする時間を作ることができるからです。

 

これはサッカーの守備の基本であり、強豪ドイツもサッカーのレベルを押し上げていく為に、「守備の基本の徹底」を育成年代から行ってきました。

 

でもこれだけではディフェンスは上手くなりませんよね。

 

私が多くの子供たちを見てきて、ディフェンスには「3つのプレーに分類できる」と考えています。

 

まず1つは、

ボールが奪えると思って足を出してしまうプレー

 

これは多くの育成年代で見られるパターンですよね。このプレーをしてしまうことで、片方の足に重心が乗ってしまい、それによって逆側にターンされたり、ボールを切り返されてかわされてしまいます。

 

酷い選手だと、クルッと身体を入れ替えられて、あっさりと抜かれて置き去りにされてしまいます。

 

この辺は身体と力の伝え方や使い方も関係してきますが、今回ここに関しては触れません。

 

次に2つ目、

両足で地面を滑るようにしてストップしてしまうプレー

 

これも育成年代で多く見られるプレーの1つです。とくに土や砂、滑りやすい屋内(体育館)のようなコートで頻繁に見らる動きです。

 

これをしてしまうと、両足が地面に接地されたまま、地面の上を滑ってしまっている為、「次の反応をする為に足を素早く動き出す」ということができなくなります。

 

ディフェンスが疲れてくると見られる現象でもあります。

 

最後に3つ目、

しっかりと最後まで足を動かして相手についていくプレー

 

これができている育成年代の選手は、たぶんそれほど多くはありません。

 

何故なら、育成年代でディフェンスをしている選手の多くが、フィジカル重視で足の速さや身体の大きさで有利になっているだけだからです。

 

ちょっと走れば追いついてしましますし、ちょっと足を伸ばせば届いてしまう為、最後まで足を動かさなくてもボールが奪えてしまうというのが、育成年代におけるディフェンスの現状のようです。

 

先ほど私がお伝えした元イタリア代表カンナバーロという選手は、この足を動かすということが唯一できていた選手であり、ボールを奪うタイミングもベストでした。

 

彼は、2006年ワールドカップ(ドイツ大会)でイタリアを優勝に導き、当年のバロンドールで欧州年間最優秀選手賞を受賞。UEFAベストイレブンおよびFIFA最優秀選手賞にも選ばれています。

 

それでは彼のディフェンスを動画でご覧になってみてください。

(一部省略していますので約40秒の動画です)

 

この動画を見た時に、ドイツ・オランダで現地のコーチに教わった基本のディフェンスの大切さを改めて感じさせられます。

 

ボールを奪う際の身体を投げ出すスライディングでは、ボールをコートの外に出して、一時的にゲームを中断させています。更に、最後まで足を動かして、相手がコントロールしたボールにも反応できています。

 

ペナルティでスライディングをして倒れてしまった際も、上手く自分の手を使いながら身体を浮かせるなどして、最後まで粘って反応していますね。

 

ディフェンスをする上で重要なことは、スライディングをしてしまうと、その場から選手が1人消えてしまうことになるという点です。これはサッカーの基本的な考え方によって導き出された理論です。

 

守備をする上で数的不利にならない為にも、相手を遅らせて時間を稼ぎ、守備ができる人数を確保すること。

そして、ディフェンスをする人数が多い方へオフェンスの選手を追い込むこと。

相手の素早いカウンター等では、必ずボールを奪えると判断できれば、コートの外にボールを出して、守備の陣形を整える、または立て直す時間を作ること。

相手からボールを奪った後も、素早く攻撃に転じられるように考慮し、ゴールまでの最短コースにパスを送り出すこと。

 

ご紹介した動画では、上記の要素がカンナバーロのプレーにしっかりとあらわれていましたね。ボールを奪えると判断した時のボールに向かっていくスピードは流石です。これぞまさしく世界最高峰のディフェンスだと言えるでしょう。