今回は、”ワーキングメモリー(作業記憶と短期記憶)を向上“させることと、”サッカーが上手くなる為に欠かせない学習転移“についてお伝えしていきます。
これからお伝えする内容は、
“様々な研究機関で調べられた事実“
です。
よって私の推測ではありません(笑)
その点を理解した上で読み進めていってください。
(ただし、一部、私の推測も入りますが..)
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良く耳にする言葉として、”ある学習を習得する為には1万時間必要“と言われておりますが、実はこの”1万時間の法則が崩れ去ろうとしている“ことを皆さんは知っていましたか?
ハッキリ言ってしまうと、崩れ去ろうとしているというよりも、”既に崩れ去っている“と言った方が正しいです。
そこで今回は、”ある学習を習得する為に何が必要なのか?“をライフキネティック・トレーナーである私が、知っている内容を(あくまでもインターネット上でお伝えできる範囲内で)お伝えしていきいます。
その前に、まずは”学習転移“について理解しておくことが重要です。
目次
①学習転移とは?
まずは、”学習転移“について調べてみました。
以下、コトバンクからの引用です。
ある行動についての学習が、その後の異なる学習に対しても影響を及ぼすこと。
例えば、ピアノを学んだことのある人が、学んだことのない人に比べ、その他の楽器も容易に習得できるなどといった現象をいう。
学習転移には、先行する学習Aがその後の学習Bを促進するという“正の転移”と、その逆に妨害となる“負の転移”とがある。
それぞれの学習の間に同一の要素が多いか、類似性が高いほど転移の程度は高くなる。そして学習の結果としてあらわれる反応が類似している場合は正の転移に、相反する場合は負の転移につながるとされる。
つまり、これまで学習してきた、または現在学習していることが、”これから学習していく内容との間に類似性“があれば、”正の転移として学習が促進する“という内容です。
例えば、サッカーならばイブラヒモビッチがテコンドー(しかも黒帯?)をしていたというのは有名な話ですよね。
それによって、彼の得点シーンには”かなり独特な身体の使い方“が動画などでも見ることができます。
他にも、”元アルゼンチン代表選手だったバティストゥータ“は、”9歳までバスケットボールに興味を持っていた“そうで、”その頃に有名サッカー選手のプレーを見て、サッカーを始めることになった“と言われています。
日本においては、
“サッカー女子日本代表選手の中に、他競技から引き抜かれた方“
が結構いらっしゃいます。
また、”女子スピードスケートの高木美帆選手“においては、”サッカーの北海道選抜メンバー“として”ナショナルトレセン女子U-15合宿にも参加した経歴を持っていた“ことで有名です。
このように、他競技から他競技に移っても、”その優れた能力を発揮することができる幾つかの事例(ケース)“があります。
それから語学であれば、
“英会話を習得すれば多国語を習得できる可能性が非常に高くなる“
ことが世間一般的にも知られていますよね。
やはり、”多国語と英会話には類似性がある“からこそ、”正の転移が起こって多国語をマスターできている“のだと思います。
そして、この”学習転移を理解“した上で、
次に重要なのが”ワーキングメモリー(作業記憶または短期記憶)“です。
②作業記憶(短期記憶)とは?
こちらでも”作業記憶“を調べてみました。
以下、コトバンクからの引用です。
人間の記憶には,問題解決に関する情報を保持する長期記憶(プロダクションメモリー)と,外界から得られた情報を一時的に保持する短期記憶(ワーキングメモリー,作業記憶)がある。
そして,短期記憶で認知された情報が長期記憶中の知識と照合されて行動につながり,この繰り返しで問題解決が進行する。
つまり、”短期記憶の情報と長期記憶の中にある情報と照合“していくことで、”学習における問題解決が進む“ということになります。
ですから、
“ワーキングメモリーおよび作業記憶の部分を高機能にしていければ、ある学習を短期間で習得することが可能になる“
とライフキネティックでは考えられています。
ただし、冒頭でお伝えした”1万時間の法則“は、”ゲームやスポーツや音楽で約20%左右する“という研究もあり、”専門職に限っては、どうやら1%しか影響を与えない“という研究も出ているようです。
ですので、”1万時間の法則を完全に否定しているわけではない“ですし、逆に”専門職においては1%しかその影響を与えない“ということを知っておく必要があります。
また、学習の中で大切なのは、
その”学習を始めた年齢も関係してくる“そうです。
これは、いわゆる”幼児英才教育の分野“になりますね。
こうしたことを踏まえた上で、これまでの話をまとめると...
- ある学習を効率的に習得するには、ワーキングメモリー(作業記憶)が重要
- 学んだ学習を次に活かす(学習転移させる)には、その学習に類似性が必要
- 1万時間の法則(スポーツ等)は、約20%程度の影響しか与えない
このようになります。
こうしたことから、
“一番大切なのは、ワーキングメモリー(作業記憶)“
ですよね。
例をあげるならば、
“10ピース程度のパズルであれば、小さな作業台で十分パズルを組み立てられる“
しかし、
“1000ピースといった膨大な量のパズルとなると、小さな作業台だけではパズルを完成させることができない“
つまり、
“脳の中にあるワーキングメモリーという作業台を大きくしていく為の取り組みや活動が必要“
となります。
③ワーキングメモリー(短期記憶)を向上させる取り組み
私が現在、国立市で毎週開催しているサッカースクール(ライフキネティック・コース)では、この”ワーキングメモリーを向上させる取り組み“をしています。
ワーキングメモリーは”短期記憶“の部分なので、次々と選手たちに新しい課題を与えて、短期記憶の部分を向上させる為のエクササイズを提供しています。
当然、”サッカーを上達させることを目的“に行っているので、手や足でサッカーボールや様々な道具を扱いながら、短期記憶を向上させる為のエクササイズを行います。
既に何度もこのブログに訪れて、ライフキネティックを理解している方ならば、”1万時間の法則(単純なルーチン化した作業)“よりも、”次々と新しい課題を与えて脳を活性化させる手法がより効果的“ということが理解できているはずです。
もし初めてこの記事をお読みになった方は、ライフキネティックの特性を下記の記事を読むなどして、更に理解を深めてみてください。
1.サッカーが上手くなる為のコツ
当然のことですが、ただ闇雲にワーキングメモリーを向上させる為だけのトレーニングやエクササイズをしているわけではありません。
あくまでも”サッカーが上手くなる為のコツ“として、”ワーキングメモリーを向上させる取り組み“をしています。
では、どの部分を短期で記憶させて、更に長期記憶と結び付けていくのか?
ここが非常に大きなポイントとなって(鍵を握って)います。
私自身、まだライフキネティックのパーソナルトレーナーとして1年半ほどしか活動していませんし、サッカーにおいては今回が初めての試みとなります。
以前、国家資格を有する福祉士として認知行動療法の仕事に携わったことがあったので(そうした専門知識があるからこそ)、今の活動が実現できているのだと思います。
ですから、ライフキネティックのパーソナルトレーナーと言っても千差万別です。
今までサッカーしかされてこなかった指導者もいるでしょうし、サッカーには関わらずに医療機関や福祉施設、その他スポーツ関係という方も当然おられます。
そうしたトレーナーの中で私は、”幼い頃からサッカーを学び“、”本場ドイツやオランダでもサッカーの指導を受ける“ことができ、更に”脳に関する知識を本業として携わったという経歴“を持ち合わせています。
ですから、他のライフキネティック・パーソナルトレーナーとは少し違った視点でお話をさせていただいております。
内容が反れてしまったので話を戻します(汗)
こうした様々な研究機関で出されたデータなどから、”より効果的なサッカーのトレーニングを構築していくのが私の役目“であり、これから”国立市にライフキネティックを普及させていくことが私の使命“でもあります。
さて、学習転移の話に戻しますが...
私の場合は、たぶん”ワーキングメモリー(短期記憶)が他の方よりも優れている“のではないかと自分なりに感じています。
といっても、この短期記憶が”数字とか方程式とか年号を覚えるような記憶ではない“ということを前提にお話をさせていただきます。
私が優れているのは、
前の記事でもお伝えした”ボディーパーツ“の分野です。
何故、ボディーパーツが重要なのかは、下記の記事をご覧いただくと理解が早く進むと思います。
私には、”世界トップレベルの選手の身体の動き“を見て、”それをすぐに自分で表現することができる“という能力が備わっています。
そして、そうした部分を
“他者が理解しやすいように説明または解説できるという能力“
も持っています。
もし、ワーキングメモリーだけで世界トップレベルの選手になれるのであれば、とうの昔に私はなっているはずです。
それができない、実現していないのは、
やはり”個々のスキルや能力で足りない部分があった“
からだと思います。
もし、もっと幼い頃からサッカーを学び、ライフキネティック運動プログラムで様々な能力を向上させることができていたら...
世界トップレベルの選手になることができていたかもしれません(泣)
こればかりは過去の話になるので、あくまでも憶測です(笑)
話は変わりますが...
誰もが将来プロのサッカー選手になるわけではありませんよね?
だからこそ、
“サッカーをしながら専門職、または他の学習に繋がる学習転移が起こるような取り組みが幼い年代には必要“
なのではないでしょうか。
では、ここで”フランスのアカデミーの課題“について触れておきます。
以下、Wikipediaからの引用です。
フランス代表のW杯初優勝で、INF(クレールフォンテーヌこくりつサッカーようせいじょ、現CENTRE NATIONAL DU FOOTBALL、旧Le Centre Technique National Fernand Sastre。通称INF)が世界各国に模倣された結果、優位性は減少した。
また、育成手法が整備されすぎたことで個性的な選手が少なくなり、同じようなタイプの選手が増えていることを危惧する声もある。
INFだけの課題ではないが、例えば、2010年南アフリカワールドカップでフランス代表として出場したマテュー・ヴァルブエナは、167cmという身長の低さを理由にボルドーのトップチームに昇格できなかった。プロのスカウトは個性的な選手をチームに組み込むリスクを嫌い、平均値が高い選手を手に入れようとする傾向にある。
育成の成功が裏目に出て、10代の早い段階で才能を示した選手たちが、高額の移籍金で国外のクラブに移籍し、慣れない環境の中で、一流選手とのポジション争いに敗れ、出場機会に恵まれず、そのまま消えていくケースも増加している。
10代後半から20代前半の「フォルマシオンから仕上げの育成」の時期は、本来ならピッチでプロの経験を積むべき時期で、90分間の試合のペース配分や、対戦相手に応じたプレー選択、シーズンを通じたコンディショニングなど、様々なことを覚える大事な時期である。
さらに、2011年以前は、13歳(サッカースクール)までは国の規定で保護者の下で生活する必要があるため、ほとんどの選手はアマチュアを含む地元のクラブで練習を積み、13歳から15歳までINF(プレフォルマシオン)で鍛えられ、卒業後にプロクラブの育成所(フォルマシオン)入りが理想的なコースという認識だった。
先述の通り、優秀な選手を育てれば、10代の早い段階でも高額の移籍金が発生し、財源になるということで、フランスの各プロクラブは一層若手の育成に力を入れるようになった。
有望な選手は、13~15歳(プレフォルマシオン)でプロクラブがスカウトするようになり、さらに早い選手になると13歳まで(サッカースクール)の段階でも、プロクラブと契約するようになった。
フルタイムのプロのスカウトやパートタイムのスカウト(他に職業を持ち、仕事の合間にスカウト業をこなす。良い選手を発掘したら報酬をもらう歩合制)によって、フランス中にスカウト網が張り巡らされ、有望な選手の情報はプロクラブ間でやり取りされるようになった。
2016年時点で4年連続で育成所ランキング1位のリヨンは、町のクラブと積極的にパートナー契約を締結し、有望な選手をスムーズに獲得できるようにしている。 結果的に、INFのセレクションを受験するのは、プロクラブからスカウトされなかった選手たちになり、以前よりレベルが下がったという。
皆さんはこうした課題や現実を知り、どのように感じますか?
将来プロのサッカー選手として...
というのは、”ある意味危険で過酷な世界“と感じるはずです。
ですから、今のうちから”正の学習転移が起こる“ような活動(ワーキングメモリーを向上させる活動)をライフキネティック運動プログラムで行っていこうと考えてみませんか?
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、”ワーキングメモリーである作業記憶(短期記憶)を向上“させることと、”サッカーが上手くなる為に欠かせない学習転移“についてお伝えしていただきました。
まだまだ脳に関する研究は、現代になって始まったばかりです。
それでも、これだけのことが分かってきた(知ることができた)だけでも、少し得した気分になれないでしょうか?
もしかしたら他の方たちは、一生懸命になって”ゴールデンエイジ理論“や”スキャモンの発達発育曲線“に関する記事を眺めているだけかもしれません。
この時点で、”周囲に差をつけられる“ということを是非実感していただけたらと思います。
他にも、サッカーのセレクション合格に欠かせない内容を書いた記事やママさんに知っていただきたい内容の記事もありますので、興味がある方は下記の記事も是非ご覧になってください。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました♪