今回は、サッカーから離れて、”認知症の予防に役立つゲーム・トレーニング・運動“として世界から注目されている”ライフキネティック”についてご紹介させていただきます。
こちらのサイトは、精神科病院勤務15年の経歴を持つ国家資格を有する福祉士およびライフキネティック・トレーナーが運営しています。
なお、”ライフキネティック“を初めて知った方、まだご存知の無い方は、下記の参考記事を是非ご覧になってください。
それでは、次のコーナーから認知症予防についてお伝えします。
目次
①認知症と予防について
まずは、”認知症と予防“についてお伝えします。
さて、それでは”認知症“についてですが、まずは”老化による物忘れ“と何が違うのかを簡単に説明させていただきます。
老化による物忘れ | 認知症 | |
原因 | 脳の老化によるもの | 脳の神経細胞の変化 |
物忘れ | 体験したことの一部を忘れる (ヒントがあれば思い出す) | 体験したことをまるごと忘れる (ヒントがあっても思い出せない) |
症状の進行 | あまり進行しない | だんだん進行する |
判断力 | 予防をすれば低下しない | 低下する |
自覚 | 物忘れを自覚している | 物忘れを自覚していない |
日常生活 | 支障はない | 支障あり |
簡単に説明すると上記のようになります。
認知症は、”加齢により誰にでも起こりえる症状“として広く知られていますが、食事や運動、他者との交流などにより、”脳や心身を活性化することにより予防に繋がる“と言われています。
では、その認知症を予防する為には何が必要なのでしょうか?
次のコーナーでは、その辺について更に詳しくお伝えしたいと思います。
②認知症の予防とポイント
では次に、”認知症の予防とポイント“についてお伝えします。
先ほどのコーナーでもお伝えしましたが、認知症を予防する為には幾つかのポイントがあります。
- 生活習慣病の予防と治療
- 適度な運動
- 達成感の充実
- 他者との交流
- 本人の行動
上記5つのポイントの中で、ライフキネティックがカバーできる範囲は、2~5の部分です。
今回の記事では、”認知症を予防する為のゲーム・トレーニング・運動がテーマ“なので、それらについて1つずつ触れていきたいと思います。
では、まずその中の1つ目のポイントは
1.適度な運動
高齢者の認知症予防として、”適度な運動がかなり重要視“されていますが、その中で皆さんはどのような運動が一番適していると思いますか。
ライフキネティック独自の研究によると、高齢者が気軽にできる運動として、”お手玉・けん玉・あやとり“を実施したところ、”この3つの運動のうち1つだけが優位的に上昇した“というデータがあります。
皆さんはどれだと思いますか?
それは...
日本の文化として馴染みのある”お手玉“でした。
そうしたこともあり、ライフキネティックでは、お手玉(ビーンバッグ)を使用した様々なエクササイズが各種用意されています。
では何故、この”お手玉が効果的なのか?“というと、取り組む運動の”未習熟性と困難さ“が深く関係しているからなのだそうです。
お手玉とけん玉は、宙に浮かせて物をキャッチするという点で似ているように感じますが、あやとりに関しては、主に指に糸を絡ませて動かすだけの運動です。
目を使うことや手を動かす運動としては、あやとりでは少々物足りないといったイメージがありますよね。
では、お手玉とけん玉には、どのような違いがあるでしょうか。
先に、けん玉に触れてみようと思いますが、知っての通り”けん玉は片手で行う簡単な運動“です。
当然、多くの方は”必ず利き手で行うはず“です。
つまり、けん玉だと”利き手側の脳“にしか刺激が伝わりません。
では、お手玉はどうでしょうか?
皆さんも一度くらいはやったことがあると思います。
このお手玉ですが、動作としては両手を使ってお手玉を宙に投げて、それを両手でキャッチするので、”左右の手と左右の脳を同時に刺激“することができます。
やり方次第によっては、様々な動きを随時加えることができる為、”バリエーションを豊富にすることが可能“です。
冒頭でご紹介した”ライフキネティックを動画で体験しよう“では、発案者のホルスト・ルッツ氏が、様々な動きを加えながらビーンバッグを投げてキャッチをしていたと思います。
既に動画を見ながらライフキネティックを体験した方なら、この動きの難しさを体験または実感できたはずです。
一番簡単な動きである”ビーンバッグを投げつつ、手を交差して落ちてくるビーンバックをキャッチする“ことでさえ、上手くできなかったのではないでしょうか?
これは、”左右の手と脳が同時に動いている証拠“であり、その運動の中で”上手に目が使えていない証拠“でもあります。
こんな単純な動きでさえ、私たちの脳はスムーズに働かず、”脳が誤作動“を起こし、投げたビーンバッグを正確に両手でキャッチすることができません。
加齢が進むと、こうした機能が著しく低下していき、それによって判断力が劣っていき、次第に外出する機会も減り、更に”歩くという動作“が少なくなっていきます。
つまり、目から得る情報を脳が素早く判断(認知)することができなくなってしまうことで、”日常生活に必要とされる歩行機能が徐々に衰えていく“ことが考えられます。
また、高齢者(80歳位)の転倒を予防にしたテーマでは、試験中、”歩行をしている高齢者に声をかけた瞬間に転倒してしまう“というデータが僅かに集まりました。
では何故、歩行中の高齢者たちは”声をかけられただけで転倒“してしまったのでしょうか?
皆さんも少し考えてみてください。
声をかけられただけで転倒してしまった高齢者の特徴として考えられるのは、実は、”歩行することに意識が向き過ぎている“のが原因でした。
我々のような健康な世代は、歩行をするという行動にそれほど多くの意識を向けずとも、”無意識に歩く“ことができますが、加齢が進むにつれて、”歩行するという行動に意識が集中“してしまいます。
もし、皆さんの周囲で歩行に難がある方がいるようでれば、その人が歩いている姿を一度ご覧になってみると分かるはずです。
こうしたことから、高齢者が歩行困難になる多くのケースは、筋力低下が主な原因というよりも、”目から入る情報の収集や注意力が低下する“ことで、“歩行が以前よりも困難“になっていき、次第に外を出歩かなくなり、”徐々に筋力が低下していく“というケースがほとんどだと思います。
ですから、高齢者の転倒を予防する為には、”目から入る情報を得る能力“と、”歩行をしながら他のことも意識できる“ような”脳の改善が必須“になってくるわけです。
ライフキネティックでは、左右の手足と脳を同時に使うことで、意識を1つだけに向けずに”注意力を高める効果“が期待できます。
次に、2つ目のポイントは
2.達成感の充実
加齢が進んでいくと、何かに取り組んで”目標を達成したという充実感が得られなくなっていく傾向が高くなる“ようです。
つまり、取り組んだ成果が目で見えなくなっていきます。
ですから、そうした活動を目で確認できる記録や作品などが重要だと言われています。
ライフキネティックでは、”各エクササイズにおける達成度を本人自身が実感“できますし、”検査する項目も各種用意“されているので、”数値としても目で確認することが可能“です。
次に、3つ目のポイントは
3.他者との交流
これは私の実体験なのですが、私の母方の祖母が亡くなった際、一緒に同居しいた祖父が、それが原因で”他者との交流“が無くなっていき、それによって認知症が進行してしまいました。
元々、祖父は近隣の人たちとも交流があまり多い方ではありませんでした。
そこに、祖母が亡くなった要因が重なったことで、普段から話している相手を失い、一気に認知症が進行したと私は考えています。
今まで、畑仕事に行っても1人で帰宅することができていましたが、ある時から自宅に帰る道が思い出せず、近隣を徘徊する行為が増え、更には祖母が眠る墓石の前で過ごしている姿も目撃されるようになっていきました。
また、徐々に認知症が進行していくと、ちょっとしたことで怒りっぽくなっていき、一緒に暮らしていたオジに物を投げつけたり、殴ったり怒鳴りつけたりする等の行為も増えていったそうです。
かなり対応するのが困難だったようで、私も心配になって一度様子を見に行きましたが、その時に祖父は満面の笑みで私に接してくれました。
しかし残念なことに...
私のことは一切忘れてしまっていて、周囲が私の名前を伝えても「そうかぁ」と言い、ただ笑顔で一点を見つめ座っているだけでした。
ライフキネティックでは、参加者とトレーナーが1対1でエクササイズに取り組むことは、ほとんどありません。
様々な年代の人たちと交流をしながら、”エクササイズそのものを楽しみ、そして脳を働かせて軽く汗を流すことが可能“です。
もし、”周囲との交流が苦手“という方がいれば、ライフキネティック体験会や教室を行っている会場に直接足を運んでみて、”まずは他者との交流よりもエクササイズに没頭してみる“のも有りだと思います。
その活動の中で、次第に周囲と交流が持てるようなエクササイズの工夫もされていますので、”いつの間にか周囲の名前を覚え(記憶力の向上)“て、”徐々に他者と交流することができるようになっていくはず(コミュニケーション能力の向上)“です。
次に、4つ目のポイントは
4.本人の行動
当然ながら、認知症を予防する為には”本人の行動“が最も重要となります。
例え、高価なものを購入して活動に取り組んだとしても、本人がそれを望まなければ長続きしませんし、それが”本人の嫌がる活動になってしまうのであれば継続することは難しい“です。
認知症を予防する為には、周囲がそれらの環境を用意または準備することが重要であり、それらの”活動を導入するまでのプロセス(過程)も大切“です。
ライフキネティックでは、どのような身体レベル(車椅子)であっても、”周囲と同じエクササイズを行うことが可能“です。
また、エクササイズの強度をトレーナーがその場で判断し、個々のレベルに合わせて難易度を調節することができますので、”周囲のレベルについていけないという問題も起こることがない“です。
例をあげると、お手玉(ビーンバッグ)を使うエクササイズでは、重さを軽い物に変えたり、手に落ちてくるスピードがお手玉よりもゆっくりとなるような道具を各種揃えていますので、”難なくエクササイズに取り組める“と思います。
まずは、本人だけでなく、認知症を予防しようと考えている”周囲の方々がライフキネティックを実際に体験“して、その”効果を実感していただくのが一番“だと思います。
なお、”ライフキネティックの道具やトレーナー資格“などについて知りたい方は、下記の参考記事をご覧になってみてください。
まとめ
いかがだったでしょうか?
今回は、”認知症の予防に役立つゲーム・トレーニング・運動“として世界から注目されている”ライフキネティック”についてご紹介させていただきました。
これから日本は、更に高齢化が進んでいきます。
ボケ防止および認知症を予防する為には、自身が意識して生活し、そうならない為の活動をしていかなければなりません。
今回ご紹介した予防法やポイントは、一般的に世間でも広く知られている方法であり、その活動の中で、ライフキネティックを取り入れてどのような効果が期待できるのかをお伝えしました。
ちなみに、日本国内で推奨されている介護や医療現場における”コグニサイズ“ですが、内容はライフキネティックよりも薄く、理論としても個人的に物足りなさを感じました。
実際に、私自身が介護の現場で働いて感じたことなので、内容も理論もライフキネティックと差がかなりあると感じています。
しかし、多くの方々は、そうした薄い内容の理論を取り入れ、日々物忘れや認知症が進行しないようにと活動をされています。
今回、詳しいゲーム・トレーニング・運動方法については、インターネット上でお伝えすることができないことになっていますので、これまでご紹介した記事からライフキネティック日本支部サイトに行っていただいて、実際に体験会等に参加してみることを強くお勧めします。
もし、皆さんの地域や施設等で”体験会を開催してほしい!“といったご要望があれば、出張で体験会を開催させていただきますので、気軽に下記メールフォームよりお問い合わせください。
(昨年2018年11月に、某オートレース選手養成所からも体験会開催の依頼を受け、30名の選手にライフキネティックの説明をさせていただきました)
ここまでお読みくださり、ありがとうございました♪