サッカーで近くと遠くを見る能力とは?スポーツゴーグルの弱点

男の子の右目をズームアップした画像
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今回は、”サッカーで近くと遠くを見る能力“と、”スポーツゴーグルの弱点“について、ライフキネティック・トレーナー独自の視点からお伝えさせていただきます。

 

何故、これをテーマにしたかというと...

 

選手たちの「視野」について指導者同士で話をした際に、相手の指導者が「今の選手たちには同一視の能力が足りない」と言っていたことがあったからです。

 

確かに、様々なモノを同時に一度に見るから「同一視」と言うのは分かります。

 

ですが...

 

辞書などで調べると同一視は、


 

本来、性質などの違うものを、同じものとみなすこと。

 


とあります。

 

つまり、言葉の意味としては「ボールもゴールも敵選手も味方選手も同じモノ」とみなすことになってしまいます。

 

ですので、その時に私は「ん?」と疑問に感じましたが、そこでその指導者に詳しく説明する時間がなかったので、そのまま同意するような形で、ついその言葉を聞き流してしまいました。

 

もしかすると、その指導者は今も選手たちに同一視という誤った情報を伝えているかもしれません。

 

①脳の様々な領域が働いている

サッカーでボールを奪われないように周囲を見ながらボールキープする大人の選手

サッカーにおいて、「見る」という行為を一言でまとめようとしてしまうと、先ほどのように誤った認識を持ってしまいます。

 

初めてこのブログに訪れて、この記事を読んだ方は「そうじゃないの?」とたぶん疑問に思うはずです。

 

しかし、人間の脳はそんな単純なもの(仕組み)ではありません。

 

ここである事例をお伝えします。

 

ある実験において、「食物を見分ける領域を発見した!」と主張していた科学者がいたそうです。

 

しかし更に詳しく実験を進めていく中で、被験者に「様々な色がついた食べ物を見せた時」と、「色も形も似ているが食べ物ではないものを見せた」ところ、その領域は両方とも同じように反応したそうです。

 

色とりどりの丸いキャンディーガムガラスで作られた丸いカラフルなビー玉
輪切りにしたキウイフルーツの白黒画像歯車の白黒画像

 

つまり、この実験で判明したことは、食物領域ではなく、「色と形に反応するだけの領域だった」そうです。

 

これは私の憶測ではなく、脳科学者がしっかりとした環境で実験をしているので、確かな情報なはずです。

 

まさにこれこそ「同一視」ですよね!

 

では、これがサッカーだったらどうでしょうか?

 

相手チームのユニフォーム(背番号も含む)、味方チームのユニフォーム(背番号も含む)、そして両チームのGKのユニフォーム、審判、ボール、ゴール、試合を観戦している周囲の人たちの衣類など...

 

もしかしたら、どこかで選手たちはこれらを一度に見て錯覚を起こし、それによって「脳の判断(受信)によるミス」を起こしているかもしれませんよね?

 

ですから、サッカーでは「同一視」という考え方は適切でないと言えます。

 

我々人間は意識せずとも、脳の様々な領域が働いているわけですから、その領域を考えながら「サッカーにおける見る」を種類別にエクサイズすべきだと私は考えます。

 

②近くと遠くを見分ける

サッカーの試合で、遠くを見ながらボールを蹴ろうとする瞬間の大人の選手

サッカーでは、様々な対象物に対して「距離感」が非常に大切だと思います。

 

人(敵と味方)との距離、ボールとの距離、ゴールとの距離、そしてポジション取りの距離(自分の現在の位置を把握する能力を含む)など...

 

このように考えていくと、サッカーでは近くと遠くを見分ける作業が必要ということが分かっていきます。

 

ちなみに、私の長男はジュニア時代に、この作業がすごく苦手でした。

 

指導者からも、「ボールとの距離を上手く把握できていない」と言われたことがあり、更に、ある日テレビゲームをしていた時に、長男の目が一瞬変な方向を向いていることに気づきました。

 

そして、検査の為に大学附属病院の眼科を受診したところ、「両目とも外斜視」という診断を受け、両目ともに手術をしたという貴重な体験をしたことがあります。

 

ですので、特に「目」に関することに関しては、ライフキネティックの講義を受けた際も、マスタートレーナーから「他の人よりも目に関しては、お子さんの実体験があるので理解しやすいですよね」と言われました。

 

確かに息子は、外斜視が原因でボールの距離感が把握できず、特にサッカーをしている際、ボールが宙に浮いている時に目や顔を反らすようにして怖がる姿も見られたので、宙に浮いて動いているボールに焦点を合わせることができなかったのだと思います。

 

当然、本人の話ではサッカーボールの浮き球だけでなく、視野に入った対象物がブレて見えてしまうという現象もあったそうです。

 

当時は、3DSというゲームをよくやっていたので、それによる目の疲労や作用もあったのかもしれません。

 

本人にとって対象物との距離感が掴めないというのは、さぞかし怖かったのではないかでしょうか。

 

 

このように、長男の斜視が判明したことで、対象物に焦点を合わせたり、自分と対象物との距離感を把握したりするということが困難になることを知り、様々な場面や状況で「大きなハンディキャップを背負う」ということを子供の保護者として目の当たりにしました。

 

それと同時に、目から入る情報が正確でなければ、良い状況判断もできませんし、対象物との距離感も把握できないのだと、その時、改めて考えさせられました。

 

ですので、私がライフキネティックのトレーナーだから目に関する情報が誰よりも詳しいということではなく、こうした長男の実体験があったからこそ、「サッカーには目から入る情報がとても重要なのだ」と強く感じるのです。

 

斜視の手術後は、リハビリとして「近く」と「遠く」を見るを繰り返して、「眼球を動かしている筋肉を強化するように」と、主治医からアドバイスも受けています。

 

しかし、目のトレーニングほど地味で大変なものはありません。

 

思っているよりも眼球周辺が疲れるようで、今となっては全くそうしたトレーニングをしていません。

 

そのため、両目を中央に移動させて寄り目にするということが苦手で、長男はそうした行為をとても嫌っています。

 

もしかしたら、ある日また、「斜視が再発する可能性がある」とも言われています。

 

こうした経緯があったことで、私はライフキネティック・サッカースクールでエクササイズを提供している際、参加する選手たちの空間認知能力や対象物との距離の取り方などを常に注意深く見守るようにしています。

 

こうした目の症状は、早期発見できればそれなりの対処や対応ができますので、お子さんの目に関して気になる方は、眼科で検査してください。(過去の写真を見るだけで、本人が斜視かどうか、ある程度判断できるそうです)

 

③スポーツゴーグルと視野

青い眼鏡をかけたサッカー少年の顔

長男が外斜視だったということもあり、当然それに合わせて視力も低下していました。

 

その為、サッカーをする際に「ある程度の視力を補うことを目的」に、スポーツゴーグルを購入しました。

 

当初はコンタクトレンズも検討しましたが、大抵の眼科医は「幼い年代は成長段階で眼球も柔らかいので、コンタクトレンズはお勧めしない」と言います。

 

ですので、地域でスポーツゴーグルを扱っている眼鏡屋さんに行くことにしました。

 

この時に知ったのですが、スポーツゴーグルは、国内製のものと海外製の2種類があり、よくゴーグルを付けている選手を見かけると、多くの選手は国内製のものを使用しているようです。

 

当然、私の長男も国内製のものを試しに着用したことがあります。国内製のものは、海外製のものに比べるとゴツゴツしていて違和感もあり、更に上下左右が見にくいとのことでした。

 

ちなみに、海外製は見た目もカッコよく、デザインもスッキリしてゴツゴツしていないので、それほど違和感なく着用できるようです。ただし、海外製ということもあり、目や鼻の周辺の彫りが深いタイプの顔に合わせて、鼻の部分が国内製のものよりも低くできているそうです。

 

我々の年代ならば、オランダ代表のダービッツを思い出しますね♪

 

ですから海外製は、マツゲの長い人にとっては、かなり気になる部分になるかもしれません。

 

こうして私の長男は、サッカーのジュニア(高学年)時代をスポーツゴーグルで過ごしたわけですが、コンタクトレンズにしたのはジュニアユースに上がってからでした。

 

今もワンデイタイプのコンタクトレンズを愛用していますが、やはり「スポーツゴーグルとは見え方が違う」と言っています。

 

先ほどもお伝えしたように、スポーツゴーグルは上下左右の視野の範囲が狭くなります。逆にコンタクトレンズは、目とレンズが密着することになるので、周囲の見え方がかなり違ってきます。

 

私も小学2年生の時からメガネをつけていたので、中学生まではメガネをかけながらサッカーをしていました。その為、ヘディングの当たる位置が悪いと、すぐにメガネが外れるということが多々ありました。

 

今では、スポーツ専用のメガネ(バンドで固定して安全性が確認できるもの?)をしていない場合は、サッカーの試合には出場することができません。昔はそれだけルールが甘かったということでしょうか...

 

こうして長男は、ジュニアユースに上がってから、周囲とのハンディキャップをほぼ無くした状態で、思い切りサッカーをすることができるようになりました。

 

私自身も高校進学後に、初めてコンタクトレンズを着用して周囲を見渡した時に、「これが一般の人たちが見える当たり前の世界なのか!」と、視力の高い人には決して分からない「嬉しさ」と「驚き」を今でも鮮明に覚えています。

 

しかし、ジュニア年代でこうした目(視力)のハンディキャップを持つことは、「その時期に養うべき能力をうまく向上させることができないのではないか?」と、ライフキネティックのトレーナーになってから考えることが増えてきています。

 

現在のライフキネティック・サッカースクールには、まだスポーツゴーグルを着用している選手はいませんが、もしかすると今後そのような選手がスクールに参加するかもしれません。

 

スポーツゴーグルを着用していなければ、上下左右(斜め方向も)に遮るものがないので、それなりに視野を広げるエクササイズや目を強化するエクササイズができますし、それなりのエクササイズ効果も得られます。

 

でもトレーニングの時だけスポーツゴーグルを外して目のエクササイズを行えば良いのでしょうが、結局、サッカーの試合になるとスポーツゴーグルで強制的に視野が遮られてしまうので、「こればかりは仕方がない」と諦めるしかありません。

 

でも、それなりの年齢になればコンタクトレンズを着用することができるようになると思いますので、それまでに必要な目の能力を向上させておくことは有効だと思います。(たとえ適齢期になっても、診断の結果によってはコンタクトレンズを着用できない方がいます)

 

 

ということで、サッカーにおいてスポーツゴーグルが必須な方にとっては、上下左右の視野の確保が困難になり、更にそれが弱点にもなります。

 

いかがだったでしょうか?

 

今回は、サッカーにおいて「近く」と「遠く」を見ることの重要性についてお伝えしました。

 

普段、「そんなことまで気にして、子供たちのサッカーを見ていない」という方が多かったのではないでしょうか。

 

何かしらの目の症状でスポーツゴーグル等の矯正器具を着用することになってしまった方に、今回の記事が少しでも参考になれば嬉しく思います。

 

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